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親が亡くなったら銀行口座は凍結される?元銀行員が窓口で見た相続手続き|戸籍・遺言書・相続税

親が亡くなったら口座凍結 元銀行員が窓口で見てきた相続手続き
ゆずまる
ゆずまる

こんにちは!「税理士補助スタッフのしごと帖」を運営しているゆずまるです。

「親が亡くなったら、銀行の口座ってどうなるの?」「お葬式代は引き出せるの?」と、不安に思っている方もいるのではないでしょうか。

私は銀行の窓口で、5年以上、相続の受付をしていました。今は税理士事務所で、相続税の申告にかかわっています。

この記事では、銀行と税理士事務所の両方で見てきた相続の手続きを、私の体験とあわせてまとめました。

この記事でわかること

  • 親が亡くなると、銀行口座が凍結される理由
  • 分ける前でも、1つの銀行で150万円まで引き出せる制度
  • 銀行の相続手続きでいちばん大変な「戸籍」集め
  • 遺言書があると、手続きがスムーズになる理由と「付言事項」
  • 税理士事務所での相続税の申告と、土地の評価
もくじ
  1. 親が亡くなったら、銀行口座は凍結されます
  2. 凍結するのは、預金を守るため
  3. 分ける前でも、1つの銀行で150万円まで引き出せる
  4. 銀行の相続手続きでいちばん大変なのは「戸籍」
  5. 戸籍が何通にも分かれる理由と「改製原戸籍」
  6. 古い戸籍は、手書きで達筆
  7. 相続人が兄弟姉妹だと、戸籍がもっと増える
  8. 今は、戸籍集めが少し楽になっています
  9. 広域交付(2024年3月から)
  10. 法定相続情報証明制度(2017年5月から)
  11. 遺言書があると、銀行の手続きがスムーズ
  12. 遺言書は作りやすくなっています
  13. 遺言書の最後の「付言事項」
  14. 税理士事務所での相続税の申告
  15. いちばん時間がかかるのは、土地の評価
  16. 銀行と税理士事務所、両方で見てきて伝えたいこと
  17. まとめ

親が亡くなったら、銀行口座は凍結されます

銀行が、口座の持ち主が亡くなったことを知ると、口座は凍結されて、お金を引き出せなくなります。

凍結するのは、預金を守るため

銀行は、亡くなった方の預金を守るために、すぐに引き出しができないよう、口座を凍結しないといけません。

家族であっても、ほかの相続人の分まで引き出してしまうと、あとでもめるもとになります。

分ける前でも、1つの銀行で150万円まで引き出せる

ただ、お葬式代や当面の生活費で困る方もいます。そこで2019年から、遺産を分ける前でも、相続人がひとりで預金を引き出せる制度ができました(遺産分割前の相続預金の払戻し制度)。

引き出せる金額

  • 1つの銀行で、亡くなったときの預金額×3分の1×その人の法定相続分まで
  • 上限は、1つの銀行につき150万円
  • 引き出した分は、あとで遺産を分けるときに、その人がすでに受け取った分として扱われます

必要な書類は銀行ごとにちがうので、まずは銀行に確認してください。

銀行の相続手続きでいちばん大変なのは「戸籍」

窓口でいちばん大変だったのは、必要な戸籍がなかなかそろわないことです。これは本当によくありました。

銀行の相続手続きでは、亡くなった方の、生まれてから亡くなるまでの、とぎれずにつながった戸籍が必要です。

戸籍が何通にも分かれる理由と「改製原戸籍」

戸籍は、結婚したり、本籍を移したりすると、新しく作られます。それに、法律が変わるたびに作り直されてきました。

この作り直す前の古い戸籍を、改製原戸籍(かいせいげんこせき)といいます。窓口では、この改製原戸籍がなくて、戸籍がつながらないことがよくありました。

古い戸籍は、手書きで達筆

そろっているかを確認するのも大変でした。古い戸籍って、本当に難解なんです。手書きですし、達筆な方がいたりして(笑)。

相続人が兄弟姉妹だと、戸籍がもっと増える

相続人になる人には、順番が決まっています(国税庁「相続人の範囲と法定相続分」)。

相続人法定相続分(配偶者がいる場合)
配偶者いつも相続人
第1順位:子(亡くなっていれば孫など)配偶者 2分の1・子 2分の1
第2順位:父母・祖父母など(子がいないとき)配偶者 3分の2・父母など 3分の1
第3順位:兄弟姉妹(亡くなっていればその子)配偶者 4分の3・兄弟姉妹 4分の1

兄弟姉妹が相続人のときは、子どもがいないことや、親が亡くなっていることも、戸籍で確かめる必要があります。そのため、一般的に次のような戸籍が必要になります。

兄弟姉妹が相続人のときに必要な戸籍(主なもの)

  • 亡くなった方の、生まれてから亡くなるまでの戸籍
  • お父さんとお母さん、それぞれの生まれてから亡くなるまでの戸籍
  • 兄弟姉妹全員の戸籍
  • 亡くなった兄弟姉妹がいれば、その人の分も

なので、兄弟姉妹が相続人のときは、一回で戸籍がそろったことは、あまりなかったと思います。

今は、戸籍集めが少し楽になっています

今は、本籍地が遠くても、郵送で戸籍を取り寄せることができます。さらに、次のような制度もあります。

広域交付(2024年3月から)

法務省の案内によると、2024年3月1日から、本籍地ではない市区町村の窓口でも、戸籍証明書を請求できるようになりました。

広域交付で気をつけること

  • 請求できるのは、本人・配偶者・父母や祖父母(直系尊属)・子や孫(直系卑属)の戸籍
  • 兄弟姉妹の戸籍は、広域交付では請求できません
  • 郵送や代理人による請求はできません(本人が窓口へ)
  • コンピュータ化されていない一部の古い戸籍は対象外

兄弟姉妹が相続人のときに、相続人のひとりが広域交付で請求すると、こうなります(戸籍法で、広域交付を請求できるのは本人・配偶者・直系尊属・直系卑属だけのため)。

必要な戸籍広域交付で
お父さん・お母さんの戸籍とれる(自分の父母=直系尊属なので)
亡くなった兄弟姉妹の戸籍とれない
ほかの兄弟姉妹の戸籍とれない(その兄弟姉妹本人なら、広域交付でとれる)

広域交付でとれない戸籍は、これまでどおり本籍地の市区町村に、窓口か郵送で請求します。兄弟姉妹は、相続の手続きに使うという理由を示して請求する形になります。くわしい書類は、本籍地の市区町村に確認してください。

なので、兄弟姉妹が相続人のときは、広域交付だけではそろわず、やっぱり大変なところは残ります。

法定相続情報証明制度(2017年5月から)

法務局の「法定相続情報証明制度」は、戸籍の束と、相続関係を一覧にした図を法務局に出すと、登記官が確認した「法定相続情報一覧図の写し」を無料で交付してもらえる制度です。

この写しは、預金の払戻しや相続税の申告、不動産の相続登記などで、戸籍の束のかわりに使えます。使えるかどうかは、出す先に確認してください。

遺言書があると、銀行の手続きがスムーズ

元銀行員として、生前に遺言書を作ってもらっていたらなあと思うことがよくありました。

銀行の手続き
遺言書で遺言執行者が決められているその人だけで手続きを進められる
遺言書がない相続人全員で遺産の分け方を話し合う(遺産分割協議)。まとまらないと手続きが進められない

相続人どうしでもめてもめて、銀行の手続きがずっと、そのままになっている口座を、何件も見てきました。

遺言書は作りやすくなっています

遺言書を作りやすくする制度

  • 自分で書いた遺言書を、法務局で預かってもらえる(自筆証書遺言書保管制度)。手数料は1件3,900円
  • 法務局に預けた遺言書は、家庭裁判所の「検認」がいらない
  • 亡くなったあと、指定した人に、遺言書が保管されていることを知らせてもらえる
  • 公証役場で作る公正証書遺言は、2025年10月から順次、ウェブ会議でも作れるように(公証人が相当と認める場合)

ぜひ、お元気なうちから検討してみてください。

遺言書の最後の「付言事項」

銀行員のころは、遺言書を見る機会がとても多かったです。

遺言書の最後には、どうしてこういう内容にしたのか、という想いを書くところがあります。これを付言事項(ふげんじこう)といいます。法律上の効力はありませんが、家族への想いを伝えられます。

窓口で読んでいて、その方の想いが伝わってきて、ウルっと来ることがよくありました(笑)。

税理士事務所での相続税の申告

今の税理士事務所では、相続税の申告書を作っています。流れは、次のとおりです。

すること
1相続人の方に、資料を集めてもらう
2集まった資料をもとに、相続財産を評価する
3相続税の申告書を作る

相続税の申告で知っておきたい数字(国税庁)

  • 申告の期限:亡くなったことを知った日(ふつうは亡くなった日)の翌日から10か月以内
  • 基礎控除:3,000万円+600万円×法定相続人の数

いちばん時間がかかるのは、土地の評価

相続税の申告で、いちばん難しく、時間がかかるのが土地の評価です。

土地は、道路ごとに決められた「路線価」(その道路に面している標準的な宅地の1平方メートルあたりの価額)がもとになります。そこから、奥行の長さや、角地かどうか(ほかの道路にも面しているか)などで、細かく補正していきます。路線価がない地域は、固定資産税の評価額に決められた倍率をかける「倍率方式」で評価します。

自宅などの土地には、条件を満たせば評価額が大きく減る「小規模宅地等の特例」もあります(国税庁「小規模宅地等の特例」)。

土地の種類限度面積減らせる割合
自宅の土地(特定居住用宅地等)330㎡80%
事業に使っていた土地(特定事業用宅地等など)400㎡80%
貸していた土地(貸付事業用宅地等)200㎡50%

使えるかどうかの判断も大事なので、ここは税理士の先生と、ていねいに確認しながら進めています。

銀行と税理士事務所、両方で見てきて伝えたいこと

相続は、誰にでも訪れるライフイベントです。遺産の分け方がすぐに決まればいいのですが、そうもいかないことがあります。

ぜひ、元気なうちから、家族でお話しする機会を作ってほしいなと思います。そして、遺言書も、ぜひ作ってみてください。

ちなみに、窓口で相続の受付をしていたとき、相続税のことを聞かれることが多くて、FPの勉強を始めました。それが、税理士事務所に転職したきっかけのひとつです。その話は、こちらの記事に書いています。

まとめ

この記事のまとめ

  • 親が亡くなると、銀行口座は凍結される。預金を守るため
  • 分ける前でも、1つの銀行で150万円まで引き出せる制度がある
  • 銀行の手続きでいちばん大変なのは、生まれてから亡くなるまでの戸籍集め。兄弟姉妹が相続人だと、もっと増える
  • 広域交付や法定相続情報証明制度で、少し楽になっている
  • 遺言書があると手続きがスムーズ。付言事項で想いを残せる
  • 相続税の申告は10か月以内。土地の評価がいちばん大変

手続きのくわしい条件や、税金の判断は、銀行・市区町村・法務局・税理士などに確認してください。この記事が、ご家族で相続について話すきっかけになれば嬉しいです。

ゆずまる

書いている人

ゆずまる

税理士事務所で働く補助スタッフです。
入社3年目で、法人20件ほどの担当先を持ちながら、月次業務、決算業務、確定申告、相続税申告の補助などに携わっています。

前職は銀行員。FP1級取得をきっかけに、会計・税務の分野へ転職しました。
このブログでは、税理士事務所のしごと、経理・会計、Excelを使った業務改善について発信しています。

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